雑貨の魅力

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雑貨が好きだ。
その「原点」になるであろうきっかけが、このカップアンドソーサーだ。中学生のときに自分のお小遣いで買ったもの。ふちがちょっと欠けちゃったけれど、いまでもちゃんと食器棚に保管し、時々使っている。

インテリアが好きな人って、建築から興味を持って入ってくる人と、家具に興味を持って入ってくる人と、雑貨からアプローチしてくる人・・・って、いろいろあると思うんだけど、私は雑貨が好きで「どうやって陳列しよう」「どんなふうに収納しよう」と考えているうちに、インテリア全体へと興味の幅がひろがったわけである。この器が私のインテリア好きのスタート地点かもしれない。

使い道のないようなこまこましたものが好き

昔はよく、フリーマーケット蚤の市をのぞいて歩きました。変な置物、意味のない物体、くだらないもの、なくても困らない数々の雑貨というものに惹かれたものです。ある日、上野公園で広げられていた蚤の市、いかにもインチキくさいお店を出していたおじさんがいて(汚いただの木の箱に「貴重、アンティーク、30,000円」と値札をつけているようなね)・・・そのおじさんの脇に置いてあった小さなカバンがなんだか素敵に見えた。若いころは、ある種のアンティークな雰囲気に惹かれる時期があるじゃないですか。年季の入ったものがクールでかっこよくみえたし、インチキくさい雰囲気もまたちょっとおしゃれに感じたのだ。

古いかばん
たぶん薬箱のようなもの
(イメージ写真)

「あのー、そのカバンはいくらですか?」

「おねえちゃん、これは売りものじゃないんだよ。おじさんのカバンなの」

「えー。でも・・それがすごく欲しいです・・・」

「こんなボロボロなカバンをかい?まぁ欲しいっていうなら売ってもいいけど。1500円でどうかな?」

「1200円にしてください。ビンボー大学生なので」

「いいよ、じゃ、1200円。なんか悪いねぇ、ありがとね」

財布やらタバコやら鍵やらとジャラジャラとりだしてスッカラカンにしながら「俺の荷物、いれるものがなくなったなぁ」って言ってボロボロのカバンを譲ってくれたのだ。

私はそのカバンで外出を繰り返した。青春時代のほとんどを、そのカバンと過ごし、何年も大事に使った。結婚してからはすっかり使わなくなってタンスの中でひっそりと休ませていたけれど、数年前ついに手放した。



おじさんが30年ぐらい使って、そして私も30年ほど使った、いまそのカバンがどうなっているのかは知らない。
雑貨には、ひとつひとつにエピソードがありなんともいえない魅力がある。