カーテンの寸法変化率についてお話するよ

カーテンを選ぶときに
一般の人はほとんど気にしない(無視する)数字があります。

寸法変化率

寸法変化率というのは
この布は洗ったらちょっと縮むよとか、伸びちゃうよ、とかをお知らせしてくれる数字なんです。

画像の黄色い布は、綿と麻が混ざっています。


幅2000㎜×高さ2400㎜ぐらいの
つまりこんな感じの掃き出し窓用にカーテン作っても
12,000円で作れちゃうという
めちゃくちゃ低コストのオーダーカーテン生地。

さて、サンプルの数字をよく見ると
たて-0.2% よこ-0.5%
という表記がありますでしょ?

つまり、オーダーカーテンで部屋にぴったりのサイズで作ったとしても
お洗濯をした際には
長さが5㎜ほど、横幅が1㎝、縮むかもしれませんよ、ということを意味しています。

そんな感じで、
布というのはどれも伸びたり縮んだりする可能性を持っています。

 

こちらは、高級カーテンを扱っているフィスバの生地。
中でもMOONというシリーズは(フィスバにしては)お手頃な価格帯に入るので
提案しやすい部類で、ベルベット調の風合いが個人的にも大好きなのですが
(画像は裏側でごめんね)
さきほどと同じ掃き出し窓(2000×2400㎜)用にオーダーすると
139,300円のカーテンになります。
(安くはないが、死ぬほど高くもない絶妙な)


寸法変化率を見てみると
水洗いする限りでは、たて方向には伸びも縮みもしません。(優秀!)
横は-0.4%の縮みが起きるらしいのでつまり8mmほどちっちゃくなります。

このくらいの収縮率であれば、
まぁ許容範囲内です。

ではこちらの生地。
リネン(麻)100%で実に風合いの良い感じ~!なファブリック。

掃き出し窓にオーダーすると
210,700円のカーテン。
さすがに、1窓20万を超えてくるようなものはご提案する相手を選びます。


(サンゲツが取り扱いをしています。ちょっとはお値引きできるのでご安心を)

この生地の寸法変化率をみてください。
水洗いするとタテに-7.0%です。
つまり、21万円かけてオーダーした高級カーテンを
うっかり自分で水洗いしたら16.8㎝も縮んでしまいます!

想像してください、16.8㎝縮んでツンツルテンになってしまったカーテンを。

泣きますよね(笑)

(泣くって言ってんのに笑うってどゆこと)

よく見ると、洗濯表記には自宅で洗うな!ってなってますし、
プロの水洗いもバツで、
乾燥機放り込むのもバツで、
漂白するのもダメってなってるし、
(つまり基本「洗うんじゃねーよ」という生地です、これ)

それでもさっぱりさせたいなら
石油系のドライならOKということなので、
クリーニングに出したとすれば
-1.0%、つまり2.4㎝の縮みで済みます。
(とはいえ、2.4㎝もまぁまぁデカイ縮みだよぉ)

オーダーカーテンの吊元のフックは
アジャスター式になっていることが多いので
長さが伸びたり縮んだりしたカーテンはフックを調整することで
多少はなんとかなります。
(とはいえそれも限度があるよ)

縮みやすい縮みにくいは、素材によります。
一般的にポリエステル製は寸法変化率が小さく、
天然素材のほうが伸びたり縮んだりが激しくなります。

安いカーテンはポリエステルで
高級カーテンになるほど、シルクだの、麻だのと、天然素材になっていきます。
(ポリエステルだけど高いものもありんす)
(ややこしいですね)

寸法変化率が大きい素材のものは、私の場合はあらかじめ「防縮加工」をしてから
カーテンにお仕立てしたり、、なんてことをしています。
(できる布とできない布があるけれど)

日本人はなんだか床ギリギリのぴったりにカーテンを納めるのが一般的なんですが


(私の施工事例より。床にぴったりでおさめるオーダーカーテン)

それに対して
海外インテリアではよく、
素敵にカーテンの裾をズルズルーってひきづっているのを
見かけると思いますが
(ブレイクスタイルていうんだよ)

(私の施工例より。ブレイクスタイルでおさめたカーテン)


(私の施工例より。これもブレイクスタイル)

あれは何でずるずる引きずっているのかっていったら、
生地が伸びたり縮んだりしてもデザインが崩れないように最初から考えてあるんだよ、ということです。

なのでブレイクスタイルのカーテンを見かけたら
あぁ、天然素材の高級な生地で作ってんだなぁ!
高そうだなぁ!
と思ってあげてください。
決して『寸法間違えちゃったカーテン』ではないんです!

 

 

というわけで、今日は寸法変化率のお話をしました。
異なる生地を組み合わせる切替カーテンとかをデザインする場合など
あまりにも寸法変化率の違う布同士で作ると
洗ったときに悲惨な型崩れになるので、そういうケースを想定しながら

・寸法変化率が同じもの同士でカーテンをつくる
・そもそも「絶対洗わないでね」を前提として提案する

がいいと思いまーす。


(切替カーテンの事例。異なる生地だけれど、寸法変化率同じもので組み合わせている)

 

(これも切替カーテンの事例。この場合は、たてに伸び縮みする分にはあまり支障がないけれど、
幅が伸び縮みする時に変化率が違うとたぶんデザインがぐちゃぐちゃになる)

とかね。

ではまた!