スイス展と、DUKA展

いろんな展示会やイベントを見に行って
「あとでブログのネタにしよう」と思いつつ
そのまま脳みその中に埋もれてしまったものがいくつもある。

まぁ、それはそれで「自分の中には沈殿している」からいいのだけれど
人に伝えないものというのは結局そのうちすっかり忘れてしまう運命、だったりする。
(それは私個人の記憶力の問題ですかね)

そんな話を、思い出したように今日は2つ。
(どーせもう去年のは思い出せないしwww)

スイスデザイン展
新宿オペラシティで開催されていた展示会。
日本とスイスの国交樹立150周年を記念して企画されたもので、
世界中で愛されるスイスの優れたデザインと、スイスという国の魅力をご紹介する、というものでした。

閉館間際にかけこんだのですがフロアに足を踏み入れた瞬間に思いました。
「あー。失敗したな。こりゃ絶対時間足りないわ」
そりゃもう見応えたっぷりの内容でしたが、
全部ご紹介していてもしょうがないので、いくつかだけ、ここではネタにします。

世の中に出回っているモノは、すべて誰かが「こんな形で、こんな材料で・・」と
デザインをしているはずです。
私は日本文学科出身の人間なので、デザイン、というものをきちんと学んだことがありません。
秀逸なデザインとは何なのか?という問いかけに対しての答えをもっているわけではありません。
だけれど、この曲線、このパーツ、この色、この大きさ、このバランス、この交わり・・・
丁寧に時間をかけて考えられたであろうデザインは、
商品が素晴らしいだけではなく、
そこに至る通過点としてのスケッチやアイデア資料すら
見るに値すべき美の世界があることを実感しました。

プロなら、そういう仕事を常に心がけなくてはだめだよね、と言われたようで、
ハっとさせられたのです。

BALLYの靴のスケッチ。
ステッチの間隔、糸の色、細かく指示されている。
そして必ずデザイナーのサイン。
(う。カーテンの縫製指示とか・・・こんなふうに書いているだろうか私(大汗))

こちらはフィスバ(カーテンの生地などでおなじみの)の、デザインスケッチ。
もちろんすべて人の手で描かれている。
コンピューター全盛時代の21世紀でも、最初は人の手。

ところで。
いま、インテリアの世界では
「タイポグラフィ」を取り入れた部屋づくりが流行っていたりします。
ちょっと検索してもすぐいろいろでてくる。
・・・ね。

いわゆる、活字を意識的にとりいれたインテリア。
ロゴとか、タイポグラフィとか、そんなものをアクセントにしたコーディネートとかね。

この、活字を視覚的表現としたグラフィックデザインの考えは
1910年代からおこりはじめ、1950年代に確立したとされています。
スイスの国有書体ともいうべき存在の「HELVETICA(ヘルベチカ)」
つねに最先端のグラフィックデザインの中で使われ続けているし、
世界でいちばん使われているフォントだとも言われています。
(ヘルベチカの欠点(?)は、日本語が組めない)

Helvetica forever ヘルベチカ・フォーエバー -タイプフェイスをこえて-
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で、すぐこんな本を買ってしまうわたし。
なんでもすぐ影響受けるんです、はい(苦笑)

スイス・デザインが
フォントやグラフィック製作にも多大なる影響を与えていたということを
スイス展で初めて知ったのでした。

ル・コルビュジェは、フランスの建築家なんだけれど、
それは結婚したときにフランス国籍をとったからにすぎなくて、
もともと生まれ育ったのはスイスの小さな都市であった。

だから、このスイス展にもコルビュジェのスケッチや図面が多く展示されていました。
そしてまた多くのポスターも。

山よりも、永遠の水平線をもつ広々とした海のほうが好きだ、と語る彼の建築は
すべて「人間」の寸法を基準としたモデュロール尺度になっている。
尺度を作る、という発想には日本の「畳」の概念も参照したことは知られている。
世界を統一する建築の共通言語を作り出そうとしたコルビュジェの…
熱意、というものがそこにあるわけだねぇ。

スイスのデザインには、世代を越え世界中に愛される「普遍的な」ものが多い。
伝統と、イノベーションが両立している国。
なぜだろう。
なぜかしらね。
(そこまで考えられるような知識は持ち合わせていない(笑))

あたくし、スイス展でめちゃめちゃ影響を受けたことだけは、間違いない。
そして、アトリエ・オイのファンに。

 

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DUKA ―北欧流シンプルな食卓

こちらは、六本木にある「スウェーデン大使館」で開催されていた
小さな展示会。

日本人にはなじみある「飯椀」や「小皿」というものは、
スウェーデンの人にとってはあまりなじみがないものなんだそうです。
そこで、北欧のデザイナーさんたちがそれぞれの感性でお皿やテキスタイルをデザインをして、
一汁一菜のテーブルコーディネートをしてみましたよ、っていうのが今回の企画展。

フォーマルな時間ではなく肩肘をはらない気楽な暮らし、
知人たちを招いてスープやパンケーキやチョコレートなど
ラフな食事を楽しむシーンですが、
さりげないテーブルセッティングの中にこめられたデザインは
太陽や森や海や植物、すべてこの世に存在する自然そのものがモチーフとなっていました。
世界を小さく切り取ったものをテーブルの上に並べて
おもてなしのこころをこめている、そんな印象でした。

和食器のようでもあり、北欧のもののようでもあり。
日本とスウェーデンって、デザインが無理なくなじむ要素が多いように思います。

なぜだろう。
なぜかしらね。
(そこまで考えられるような知識は持ち合わせていない(笑))

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スイス展と、スウェーデン大使館での「北欧流シンプルな食卓」展。
この2つをみて改めて思うのは

ある一つの事象に対して
その裏には必ずデザイナーの想いと熱意が存在し、
その先には必ず使う人の暮らしが存在するということ。

すべては「人間」が介在しているんだということを、
当たり前なんだけれど、あらためて強く思ったのでありました。