ドンディスカードブーム

ホテルのドアノブにぶら下がっている札がたまらなく好きだ。ドント ディスターブ カード・・・通称「ドンディスカード」と呼ばれている。
寺山修司がドンディスカードを収集しているということを、著書で読んで知った。旅にでるたびに持って帰ってくるのだという。なんでそんなの集めてんだよと酒の席で友人たちに突っこまれた寺山修司はこう答える。「死んだら、私のお墓に大量にこれをぶら下げたいんだ。起こさないでください、ってな」

このエピソードが気に入りすぎて、くそおしゃれだなと思った私は、真似をしてせっせとドンディスカードを集めだしたんだ。一番最初は新婚旅行先のフロリダのホテルだ。でも少々微妙なマイブームではある。これ・・・持って帰っちゃだめなやつだった????

ドンディスカードには、ホテルの個性がバキバキに反映されている。旅先でおみやげの饅頭を買うぐらいなら、ドンディスカードを1枚持って帰りたいと思うのだ。

長年続いているマイブームだけれど、ここのところ終焉の兆しを感じている。
ドンディスカードをぶらさげているホテルは激減し、多くはマグネットタイプになってドアにペタッと張り付いてやがるのだ。宿泊先の部屋のドアに磁石でくっついているドンディスカードをみるたびに、私は落胆するようになった。あぁ、ここもまたそうなのか・・・残念だ。


※ドンディスカードが、従来のぶら下げ型からマグネット製に移り変わっているのは、落下と破損を防げるし耐久性が高くてコスパがいいから、だそうです。


そうはいっても、
ドンディスカードはドアノブにそっとぶら下がっていてほしいのである。
突起物にちょこんとひっかかって揺れるさまが、エモイのである。
マグネット製には惹かれないのである。