オーダー家具はどこで作られる?北海道旭川家具工場より実録レポート

オーダー家具はどこで作られる?北海道旭川家具工場より実録レポート

【平日朝7時に更新するインテリアブログ】
こんにちは。インテリアコーディネーターの三宅です!ブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。今日はオーダー家具屋さんの工場をご紹介します。

私がお世話になっているオーダー家具屋さんはいくつか工場がありまして、今回は「北海道・旭川」の工場をご案内したいと思います。この記事は2013年7月のものをリライトしたものです、ではどうぞ!

jayblueのオーダー家具はどこで作られる?

天気に恵まれた北海道は、山の頂上にうっすらと雪が見えていましたが夏の暑さ真っ盛りの2日間。
普段は見ることのないオーダー家具の製造ラインを見学させていただきましたのでそのレポートをお伝えします。


みなさんは突板(つきいた・・・・って聞いたことありますか?


家具の材料の説明書のところに「天然木突板」という表示、見たことあるなぁって人もいらっしゃるかと思います。

突板の束

無垢(むく)というのは「木そのもの」です。1枚の板は、まさに1枚の木そのものなのですが、乾燥や湿気により反ったり割れたり暴れますので、製品としては品質が安定しませんし、値段も高い。それにみんながみんな無垢材を使っていたら、あっというまに森林伐採が進んで木がなくなってしまいます。

そこで「突板(つきいた)」です。これは、木をスライスしたペラペラのかつおぶしみたいなもんです。1枚の板からたくさんスライスすれば、本物の木目を手に入れつつもみんなで資源を分け合うことができます。

この、薄くスライスしたペラペラの鰹節状態の木をベニアなどの基材となる板に貼りつけることで、表面上は「無垢の、本物の」木の質感を手に入れることができ、なおかつ割れたり反ったりしない安定した製品を作ることができます。家具やフローリングなどに使われていきます。

家具屋さん

今度●●邸で使う突板がちょうど入荷したので見に行きましょう

ということで、まずは突板屋さんにおじゃましました。

突板工場におじゃまします

家具屋さん

いかがです、これ、●●邸で使うクルミです

わたし

木目、きれいですね!

家具屋さん

そりゃぁきれいな部分を選んで頑張ってセリ落としましたから

わたし

この束、何枚あるんですか?

家具屋さん

1束400~600枚ってところです
ちなみに、1束20万円ぐらいします
これ全部、●●邸の家具をつくるために使う分です

わたし

突板の材料だけでもそんなにするのね・・

クルミはロシア産が多いのですが中国産も白くて人気があります。今回仕入れたのは中国産です。オーダー家具では、タモやナラを使うことが多いのですが、実はいまちょっと厳しいのだそうです。あまりにも乱獲しすぎて、このままいけば近い将来、手に入らなくなる可能性も?!

わたし

タモ・ナラって低コストだし定番のイメージありますけど・・

家具屋さん

いや~乱獲しすぎです、この木は

中国産のナラとかタモは乱獲しすぎで少し問題になっているようですが、北米地域の樹種はゆとりがあるのだそうです。ウォールナットは北米系です。

家具屋さん

コストは高いけどん安定供給できるので最近はウォールナットが人気ですよ。材料として入手しやすいんで。インテリアショップにウォールナットの家具、増えてますでしょう?

突板の束

わたし

突板って、中国産なら中国で製材されて輸入するんですか?

家具屋さん

いいえ、中国からは丸太の状態で入ってきます


材木屋のとこで競り合って入札したものを北海道で薄くスライスして突板に加工するのだそうです。家具で使うのは0.2ミリぐらいなのですが、フローリングとかに使うなら厚ヅキ単板といって、0.55ミリぐらいの厚みでスライスします。用途によって、突板の厚みは変わるのです。

家具屋さん

せっかくだから加工場の中もどうぞご覧ください

 突板を基材に貼り付ける過程

ローラーがぐるぐる回っていました。その間をベニアの板が通り、均一に全体的に糊付けがされていきます。

ローラーにべニアを通す作業
糊付けをしている

作業台にベタベタに糊のついたベニア板をサっとひろげ、かつおぶし状態の突板を手際よく乗せていきます。女性2人の静かな作業でした。窓から射す木漏れ日が、その手元を照らし出す。

どこかの山で生えていた1本の木。木目が美しいからと、遠く離れた日本にやってきて、薄くスライスされました。
一方、見た目は美しくないけど丈夫で安定している「ベニア」、機能面は俺にまかせろと「芯材」として頑張ってくれます。そして、加工場で両者が一緒にくっつきます。

1枚のベニアに対し、6枚の突板を使いました。この板を、今度はプレスします。機械の力を加えてしっかり密着させていきます。近くに立っているとやたらに暑い・・・プレス機。100度の温度で接着を安定させています。1分後に取り出した板をさわると・・・・ほっかほか~。

ほかほかの温かい板をもちながら、端っこのいらない部分を切り落としていました。ハラハラと足元に落ちていく切りくず。

こうやって、ペラペラのかつおぶし状態だったものが1枚の「板」として製材されて、家具をつくる工場に出荷されていきます。オーダーの家具を作るということは、サイズやデザインだけでなく、樹種を選んだり、木目を指定したり選んだりするところからこだわることができるんです~。

家具屋さん

これは2つともホワイトオークです。指定する箇所によって表情が違いますでしょう?

わたし

違う種類の木に見えます

家具屋さん

向かって左側は、ちょっと和風なイメージで使われます。右側のほうがインテリアショップさんに卸しているホワイトオーク。時代のトレンドに即しているほう、どでもいいましょうか。jayblueさんのオーダー家具もこちらを指定しています

家具屋さん

これはタイムアンドスタイルさんに納品する板、そっちのこれは・・・

いろんなインテリアショップで出回っている家具たちも、をたどればこういう加工場から来ています。一流メーカーの家具も、jayblueでご提案するオーダー家具も、実は出所は一緒だったりします。

家具の制作工場にお邪魔します

さて、場所を移動しましてこちらは家具の製作工場。実際に家具を作ってくれる職人さんたちの職場です。先ほど見学した「突板屋さん」が作ってくれた板は、ベニアの表面にキレイな木目のものをくっつけただけの板ですからまだ「材料」の状態。このままでは家具になりません。
厚みは21㎜だの、棚板の厚みは24㎜だの、カウンターの厚みは40㎜にしてくれだの・・・私たちが出した要望通りのサイズになるように、木枠を組んで指定の厚さになる「板」を作ったり、家具にしていくのが家具工場です。

すごい重さでプレスして接着します。指でも挟んで事故が起きたら大変!見ていてドキドキしちゃいます。家具の制作工場にはいろんな機械が置いてあります。実は、家具の職人さんたちの中には、指がない人も少なくありません・・・。それだけ、事故の多い職場でもあるのです。

プレス機で接着中の板材

いろんな道具を使って職人さんたちが家具を作ります。

見覚えのある図面が広がっていて、あ、うちのお客様の家具も作ってくれてるんだなっていうのがわかります。

何かが書き込まれているのでのぞいてみると・・・何が何枚必要で・・・・なんていう計算だと思われます。
5414はポリ・メラミンの品番で、白い板のこと。4×8は俗にいうシハチで、1200×2400の大きさの板のこと。

「三宅さん、いい写真とれました~?」
「はい、おかげさまで~♪勉強させてもらいましたー」

自分の影を・・・パチリ(笑)

オーダー家具がどんな工場でどんな人が作っているのか、普段お客様は見ることが出来ません。そしてまた、作り手側も
見えないお客様を想像しながら、喜んでもらいたいなぁという思いで黙々と家具を作っています。自分で納得できるクオリティを守り、ひと手間もふた手間もかけながら、お客様は気づかないような部分にも精度を求めて作業をしてくれていました。


わぁ嬉しい
わぁこんなに立派に作ってくれたんですね
わぁすごい
ありがとう


家具をお届けしたときのお客さまのそういった感動を、私は受け取ることができていますが、なかなか製作者たちの元までには届きません。家具屋さんは心を込めて作ってくれてますよということをお客さまに伝える、そして、お客さまがすごく喜んでくれましたよということを制作者たちにも伝える。そういうのも、インテリアコーディネーターのひとつの役割・・・かもしれないなぁ。

そんなことを思う旭川でございました。

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