お金持ちが住んでいる部屋にはなぜタイルが貼ってあるのか考えてみた結論

▼序章
世界のトレンドは本当に「サステナブル」だ。捨てるものに新たな価値をつけ再販するリサイクルやアップサイクル、環境への負荷・・・そのことに1ミリも関心を寄せずまったくの無関係を貫いている企業など、もはやあり得ないのだろう。

ヨーロッパでは、「切り落として捨てるだけ」だった八百屋から出る廃材・パイナップルのヘタの部分に注目し、これを用いて繊維化したファブリックで、カーテンやクッションを作っている企業がある。日本でも、「剥いで捨ててしまうだけ」だった魚の皮を漁業組合から譲り受けてフィッシュレザーを作り、(動物の革製品と同様に)椅子の張地などインテリア製品への普及を試みている企業がある。(フィッシュレザーなんてめちゃくちゃ魚臭いんじゃないか?!といぶかしく思うかもしれないが、実際手に取ってみると、いわゆる革製品と変わらない匂いだ)

本来なら捨ててしまっていたものを利用する。どの業界も、それを意識しないではいられない時代だ。

廃盤をリサイクル

平田タイルの東京ショールームは、中野坂上駅の目の前にありとても便利だ。ショールームは過去に移転を繰り返しているが、中野坂上になってからは一度も訪れたことがなかったので(!)定休日にお邪魔をさせていただき、わたし一人貸し切り状態でご案内いただくという大変贅沢な時間を過ごしてきた。

ブログ読者の皆様に、今日はタイルの魅力について語らせていただきたい!

まずはこのタイル。廃盤になったものを、再加工して新品番にしたリサイクル商品なのだそう。タイルは通常、廃盤になると在庫を産廃業者に引き取ってもらい捨ててしまうのだけれど、捨てずに粉砕しデザインを変え新品番として生まれ変わらせている。



また、こちらのタイルも見てほしい。薄くて四角い、ムラのある表情が面白い、白やグレーのモザイクタイルなのだが、廃棄するブラウン管のガラスを粉砕して粘土と混ぜてタイルにした商品なのだそう。
このように、タイルの世界もトレンド潮流にもれず、サステナブル・リサイクル・SDG’sの取り組みに貢献しているのだ。


平田タイルは1919年に京都で創業した、老舗メーカー。100年、日本の建物にタイルを供給し続けている。実績とブランドにおごり淀むことなく、いまでも新しい技術と提案を重ねている素晴らしい企業だ。

デザイン豊富なタイルの魅力


私が心躍ったものをいくつかご紹介しましょう。このブログではビジュアル的な側面に限定して投稿するのでみんなも一緒にわくわくしてもらいたい。オンラインサロンではさらに施工的な話やトレンド情報といったプロむけのうんちくを展開するので、サロンメンバーさんはそちらもチェックしてね。

アメリカからの輸入タイル。銀彩の施されたモチーフがとってもかわいい!断面をみると赤茶色で厚みが16mmもあるのが特徴。

分厚い!!

ポートランドからの輸入。同じアメリカの花柄風でもさきほどの模様は型を使っているのに対し、こちらは手描き。写真だとニュアンスが伝わらないが、触ると模様が立体的になっている。

手描きが美しい
アメリカ・ポートランドのタイル


本体は白い

最初の輸入タイルが赤茶色っぽかったのは、メキシコのテラコッタタイルを原料にして作られたものだからで、ポートランドの輸入タイルは真っ白だ。工場によって土の違い、特性があるのも面白いよね。

こちらはめちゃくちゃ人気の高いタイル。インスタグラム等でも投稿数が多く、採用しているお施主さんがたくさんいる。色合いは上品で控え目なのに、きちんと存在感のあるモチーフになっていて、なおかつ立体感もしっかりある。壁紙とは一線を画す「タイルならでは」の魅力がつまったヒット商品だ。

このタイルはどうだろうか。私はめちゃめちゃかっこいいと思った。ただの四角のくせに、まったくもってただの四角ではない独特な表情!フランスのクラフトマンシップがうんだ一品だ。どの色も素敵なんだけれど、この日の私の気分はだんとつ黒!
そして、細目地がまた、おしゃ!



こちらは日本人の女性デザイナーの作品。繊細で儚げな幾何学が、上品だ。タイルは目地の色を変えることでたくさんのバリエーションがうまれる。

インクジェット技術の発達により、タイルにもさまざまな表情が生まれている。どうみても大理石にしか見えないタイル、どうみても木材にしか見えないタイル・・・みな、印刷技術の発展によるたまものだ。木目を施したタイルは、正直にいうと一般住宅にはあまり採用されない(私も提案したことがない)が、商空間においてはニーズが高い。メンテナンス性と耐久性など機能性を考えたらタイルにしたいが、ビジュアルはWOODのほうがぬくもりがあってよい、という要望に応えるわけだ。

アッパー層に採用されるタイル

タイルは新築やリフォームで床や壁に採用されてきた。一般的には「タイルは水回りに強い」という印象だが、壁紙やフローリング(木材)などのように湿気によって伸縮したり、色褪せや傷汚れの経年劣化がほとんどなく、材料としての安定性が高いこともメリットだ。

富裕層や、インテリアに気を使っている層の住宅にはタイルが採用されていることが多い。なぜだろうか。

理由のひとつは、単純だが、タイルは高コストだからだろう。一般的なビニールクロスの壁は、材料単価が1,000円/㎡ぐらいだ。輸入壁紙を選んだとしてもせいぜい5,000~6,000円/㎡ぐらいである。それがタイルを貼るとなると一気に値段はあがる。
5,000円/㎡なら安価なほうで、ちょっといいなと思うものは30,000円/㎡ぐらい平気でするし、今日のブログでご紹介したタイルは 200,000円/㎡もざらにある。
もちろん、比較的リーズナブルな価格帯もあるし、タイルはアクセント的に利用すると考えれば全体の㎡数は少ないので現実的に採用可能だと思うのだけれど、一般論として高単価商品であることは間違いない。
だから、富裕層やインテリア好きが手を出せる世界なのは納得。


ほかの理由としては、タイルのもつ力強さなのではないかと私は思っている。土が持つ自然のパワー。タイルは土を焼いたものだ。どんなに洗練されたデザインにしても、どんなに淡くはかなげな色付けにしたとしても、タイルにはどこかダイナミックなパワーを感じさせる。お金持ちは、地球のパワーを感じるようなものに惹かれ、身近に置き、エネルギーを吸収している人が多い。無意識にそういったものを引き寄せるのではないだろうか。


そしてもうひとつの理由。タイルは知的なのだ。同じ品番のものでも貼り方によって全く別のデザインになる。バカじゃ扱いきれない知的なパズルゲームの世界がタイルにはある。いかにもアッパークラスな人たちが好みそうな世界ではないか。

常々わたしは言っているのだけれど、インテリアは価値観の投影、だと思っている。インテリアは究極の自己実現と言い換えてもいい。高コストな商材、知的な施工、大地のパワー、お金持ちの家にタイルが採用されるのは当然の結果なのだ。


jayblueの施工事例にもタイルをとりいれた空間がたくさんあるよ。みんな素敵なお施主様だった!


今日のブログはこの辺で!続きはオンラインサロンにて。