展示会レポート【リビング・モダニティ 住まいの実験】で、家とはなにかを考える
展示会レポート【リビング・モダニティ 住まいの実験】
こんにちは。
インテリアコーディネーターの三宅利佳です。
敷居は低く、美意識は高く。
今日もお立ち寄りいただき、ありがとうございます!
さて今日は、六本木の国立新美術館で開催中の「リビング・モダニティ 住まいの実験」展についてご案内したいと思います。
なかなか見応えがあって、めっちゃくちゃ皆さんにおすすめしたいんですよ。
時代は1920年~1970年代。
ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエといった建築界の巨匠たちが、新しい技術と社会の変化を背景に、よりよい住まいとは何か?を真剣に探っていた時代です。
この展覧会では、彼らが手がけた個人住宅に焦点を当て、快適性・機能性・芸術性を目指した”実験”の数々を紹介しています。
個人の戸建住宅。
これは私たちの暮らしにかかわる展覧会、なんですよ。
入り口で出迎えてくれるのは、白い造作壁。ル・コルビュジエの「連続した水平窓」を彷彿とさせるその佇まいは、まさに彼の哲学を象徴するアイコニックな存在です。


サヴォア邸
(フランス・パリ)
2022撮影
展示は7つの視点で構成されています。
・衛生
・素材
・窓
・キッチン
・調度
・メディア
・ランドスケープ
構成はユニークで、順路はありません。
まるで回遊する魚のように、自由に巡れるのも魅力のひとつでした。
たとえば「衛生」というテーマ。
人類は歴史上、つねに感染症との闘いなのですが、なかでも産業革命以降は人口集中、スラムの増大、工業化による環境汚染で、コレラ・チフス・ペストが蔓延。医学が進歩を遂げていくかたわら、建築家たちは住まいに清潔さをどう取り入れるか、採光・換気・上下水道整備・防湿・防虫など真剣に模索しはじめました。
コルビュジェは、居住空間を地面から離して湿気を防ぐピロティ、太陽を浴びて体操ができる屋上庭園、充分な換気ができる窓のある明るい部屋など、家そのものを「衛生を保つための装置」として世間に発表しました。
また、ミースやアドルフ・ロースは、体を洗う設備の配管を一か所に束ね、設備コアとしてインフラに建築を適応させる挑戦をし、「浴室ユニット」の概念をつくりました。「配管工こそが革命家だ」このセリフに、彼らの情熱が詰まっています。
「衛生」というテーマひとつとっても、今では当たり前となっている清潔で快適な暮らしが、実は建築家たちの実験的試みとたくさんの創意工夫の積み重ねで形成された文化・概念であることに気づかされます。
このような感じで、コルビュジェ、ルイスカーン、藤井厚二、ジャン・プルーヴェ、リナ・ボ・ヴァルディ、土浦亀城などなど・・・24の住宅が、7つの視点で考察されている「リビング・モダニティ 住まいの実験」展。
実物大の設営、デコレーション、多くの建築模型、ビデオ・・・いろいろな角度から問いかけられ、まさに見応えたっぷり。
そして、色使いやデコレーションや家具やファブリック・・・インテリアの重要さ、デザインとはどれほど哲学的な行為であるかを改めて思い知らされます。
(インテリア関連のお仕事をしているなら、きっっとモチベーションがUPするでしょう!)
建築に興味のある方も、住まいの在り方を見つめ直したい方も。「家」という身近なテーマを、豊かな視点で捉え直せる展示でした。
六本木では今月いっぱいまでですが、9月以降は神戸にて巡回展があるようです。関西の方はぜひそちらをチェックしてみてくださいね!
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