インテリアは、価値観の投影

インテリアとはなんだろうか。
インテリアは生活の質をあげるものだ。

例えば東アジアの遊牧民たちにとって、1枚のキリム(絨毯)は生活に欠かせないアイテムだ。空間の間仕切りとして、床の敷物として、壁の飾りとして、実用と装飾を兼ねている。

この、実用と装飾を兼ね備えるということには、すごく意味があると思います。インテリアもファッションも、メイクも、食事もそうですが、実用だけでいいと考える人も世の中にはたくさんいます。服なんか着れればなんでもいい、食事なんて栄養がとれればなんでもいい、メイクなんて紫外線が防げればどれでもいい、椅子なんか座れればなんだっていいというふうに。

でもどうせならきれいなものが欲しい、どうせならおいしいものが食べたい、どうせならもっとおしゃれに生きたい。そう考える人だってまた同じようにたくさんいます。
実用と装飾を兼ね備えたいと思うのは、欲だ。でも、欲は醜いものだろうか?欲は悪いものでしょうか?さらに、私たちは、実用もないのに装飾だけの理由で何かを欲しがることさえもあるのです。欲は、生きる上でのモチベーションです。


なくてもいいガラクタを手に入れたがることや、必要以上に高品質を求めることや、身の丈に合わない贅沢をしたいと思うこと、着飾りたいと思うこと、いい家具が欲しいと思うこと、こだわりのリフォームをしたがること、いろんな場所に行ってみたい移動欲・経験欲などもそうでしょう、それらは生きていく中での「余剰」だ。でも人間らしさ、自分らしさというのは余剰の中にこそあると私は感じています。余剰の積み重ねが、人生をカラフルに彩るのだ。
住まいとインテリアも、余剰の中にあると思っています。

インテリアは、価値観の投影だ。
なりたい自分を映す。