12歳のとき。

12歳の時。
この椅子をはじめて見たのだ。

家族で出かけたショッピングモールの中に、インテリアショップが入っていて
その店内に、この椅子はありました。

厚い革でできている。
頭のてっぺんから足の先まで。
かぶせるカバーのようなデザイン。

12歳なりに衝撃を受けて、一目ぼれして、
なんなんだこの椅子は!なんてかっこいいんだろうって。

当時はデザイナーだのブランドだの、まったく興味もなく、知識もなく、
ただ単純にこの椅子に惹かれて、値段みてびっくりして
(12歳の私では、1脚10万以上する椅子なんて想像もできませんでしたから)

それで、大人になったらあの椅子を買おう、と思ったのでした。

のちに、大人になってからインテリアの勉強をするようになり
この椅子がマリオベリーニがデザインした「キャブチェア」という名前で、
カッシーナで15万ほどで売買されているということを知るわけです。

もう42歳になりまして、キャブチェアを買えなくはない生活をしていますけれど
いまだに購入していないのは
なんていうか・・・
憧れの人を憧れのままに置いておきたいという、
複雑な乙女心ってやつでしょうか(笑)

息子が13歳になりました。
彼には彼なりに、「あ!これ!」と思える将来につながる何かとの出会いが
あればよいなぁなんて思ったりします。