夕方のオシロイバナ

 

8月が戻ってきたような蒸し暑い一日だった。

夕刻の風が前髪を撫でて通り過ぎた一瞬
懐かしい匂いがして
ぼんやりと歩いていた足を止めた。

辺りを振り返り3メートル先に見つけたのは
オシロイバナだ。

小学生の時の私はオシロイバナが遊び道具だった。
放課後の道端でオシロイバナの白い粉をすり潰したり
花びらを落下傘にしたり
黒い実をたくさん摘んで集めておままごとにしてみたり

友達と鬼ごっこをするよりも
一人でオシロイバナと戯れているのが好きだった。

 

オシロイバナは放課後の匂いがする。
わすれることのない
匂い。

 

 

懐かしくなってオシロイバナをwikiで調べたら
「花は夕方開き、芳香がある。このため和名としてはユウゲショウ(夕化粧)とも呼ばれる」ということや
「種子に窒素化合物のトリゴネリンを含み、誤食すると嘔吐、腹痛、激しい下痢を起こす」ということを知った。

そういえば、日常的にオシロイバナと戯れていたし、
花の蜜を吸ったことはあるけれど
あの種子を口にしたことはなかったな。
激しい下痢を起こすなんて知らなかったけど
口にしちゃだめだよと誰かから教わっていたのか、たまたま本能的に避けていたのかわからないが
ひどい目に合わなくてよかったと思う。

 

6~10月に咲く花。
花言葉は 臆病・内気・小心 だそうです。