「音楽劇ライムライト」主演:石丸幹二 お芝居は楽しい!観劇感想

かつてはみんな子供だった。
そして、青春を過ごし大人へと向かう。

さて。
私が結婚してからの話なんだけれど、
母がぽつりと言ったことがある。

中学生になって部活だとか
大学生になってサークルだとか。
あんたたちが家にいないことが増えて
ママはすごく寂しかった。
出ていくほうは楽しいんだろうけど
残るほうは寂しいものよ。

・・・と。
(本人は覚えてないかもしれないけど)

それを聞いたときに
私は小さなショックをうけた。

寂しいなんて感情を母が持っていたなんてことを
想像もしていなかった。
それは本当に、小さな、ショックだった。
母の気持ちを知らなかった。

------------------

時が流れ。

私の2人の子供も大きくなってきた。
中学生の娘は部活に塾にと忙しく、家にいる時間が減った。
休日は友達とでかけることも多い。
浪人生の息子も、友人と晩御飯を済ませてくる日もあり
やはり家にいる時間は減った。

やがて、いずれ、2人は独立して
この家からいなくなるのだろう・・・。

まさか自分が寂しいという感情を持つなんて
想像もしていなかったけれど

家に子供たちがいない時間を

寂しい

とこのごろすごく感じるようになっている。

 

そうだ。
そうか。
これか。
かつての母も、こんな感じだったのだろうと
今なら死ぬほど理解できる。

---------------------------
若者は輝き、未来に夢を見て前に進む。
いまという時間をキラキラと駆け抜けていく。
老いていくものはその場に立ち止まり
ただただそれをまぶしく見ているだけだ。
----------------------------

さて。

先日『ライムライト』という音楽劇を観てきました。
コーディネートのご依頼をくださったお客様M様からチケットを頂いたのです。

「え、いいんですか?!」

「えぇ、どうぞ、ぜひ観てきてください」

いただいたチケットは、最前列のど真ん中、しかも千秋楽。
なにをどうやったらこのチケットを手に入れることができるのか
わかりませんが
とにかく「めちゃくちゃいいチケット」でして
お値段だってそりゃぁいい金額です。

お言葉に甘えて、観劇してまいりました。

 

チャップリン原作の音楽劇。
生演奏。

 

主演は俳優の石丸幹二さん。
えっとどんな人だっけとググる(笑)
おー、イケメンの53歳。
ドラマ、半沢直樹とかに出てる人だ! 

 

撮影はもちろん禁止ですので、
以下の画像は公式サイトから拝借したものですが

とにかく最前列。
2メートル先でこれが見えているわけでして
俳優さんの汗、衣装の縫い目まで見える。

 

 

俳優さんたちの熱量がダイレクトに伝わってきて
本当に素晴らしかった。

『ライムライト』のお話は
とても切なくて、ある意味では救いが・・ない。

若者は輝く。
未熟な心を持ちつつも
未来に向かって進み、そして、才能を開花させ
キラキラとした人生の舞台にたち、スポットライトを浴びる。

その姿を、老人は嫉妬や羨望や敗北感や
忸怩たる思いで見るしかない。
かつての自分だってスポットライトを浴びていたはずなのに
老いた自分はもうその仲間には入れないのだという、疎外感に包まれる。

主人公は「カルヴェロ」という男。
一世を風靡したコメディアンだ。
歳をとり、落ちぶれて、酒におぼれる日々を送っていたある日、
脚が不自由で踊れなくなったことを悲観し自殺を企てたバレリーナ・テリーを助けることになる。

老いたカルヴェロと、
若く美しいテリー。

カルヴェロは時代の感性から取り残される。
どんなに名声を手に入れていたとしても
過去の栄光なんかいまや誰も見向きもしない。
老人となったカルヴェロはただただその陰を消していき、
そして若いテリーの成長と活躍を目に焼き付けながら、
死を迎える。

終劇。

カーテンコール。

スタンディングオベーション。

 

…そんなストーリーだ。

 

誰もが老いからは逃れられない。
絶えず若者が現れては
老人は順番に舞台を降りていく。
地球上はその繰り返しだ。

寂しさや虚しさをぬぐうことはできないし
救われることはないのだけれど、
カルヴェロとテリーの間に生まれた
愛や尊敬や思いやりの感情は
人を温かい気持ちにさせ
そこに一筋の光をみることができる。

 

切なくて、寂しくて、暖かい
『ライムライト』でした。

ところで!
ちょっと聞いて!

主役じゃないんだけれど
スペシャルゲスト的に出演されていた
佐藤洋介さん、という方がいまして

こんな感じでダンスしたり、
カルヴェロの「影」みたいな動きをしたり、
複数役でちょろちょろと登場していたのですが

わたしは目が釘付けになりました。

主役の石丸さんもよかったんだけれども
それよりなにより
私は佐藤洋介さんばーーーーっかり目で追ってました。

で。

ググった(笑)

一番街というダンススタジオでジャズダンスの先生をしている方でした。
安室ちゃんのMVに出てたり
あちこちでご活躍。

人間とは思えないような?
めちゃめちゃしなやかな動きで
めちゃめちゃかっこよかったです。
めちゃめちゃかっこよかったです。

チケットをくださったM様
本当にありがとうございました!